科学者よ研究室を飛び出せ お茶の水に「科学者維新塾」

 理系博士よ、研究室を出て新しい一歩を踏み出そう−。理系の博士号取得者らに、起業家や政治家、ジャーナリストなどを目指してもらおうと、自主講座「科学者維新塾 御茶ノ水」が22日、開講する。ポスドク問題など博士を取り巻く環境が良好とはいえない中、主宰する大学教授や支援者らは、社会を動かす人材として、はばたいてほしいと期待を込める。

 同塾の塾長は大阪大学教授で理化学研究所主任研究員の河田聡氏。河田教授は「苦労して研究し、博士号を取ったのだから、その経験を社会で生かしてほしい。学位を取って、なれない仕事などないはず」という。

 河田教授も、研究分野である光学を生かした顕微鏡メーカーを立ち上げるなど起業家としての一面がある。

 塾は今月から月1回で10回開講する。サイエンスライターの渡辺政隆氏や元日経エレクトロニクス編集長、西村吉雄氏のほか、博士号を持つ国会議員や企業家、弁護士らが講師となって、それぞれの道への歩み方を講義。その後、講師と塾生が意見交換しながら、キャリアを考える。

 塾は博士課程修了者だけでなく、大学院生や学部生、博士を目指す人も参加できる。

 同塾は平成21年から大阪で行われており、すでに60人近くが参加した。今年も15日に第3期がスタートした。

 御茶ノ水の塾生代表で大阪大学大学院博士課程の熊本康昭さんは「様々な立場の塾生が集まることで意見交換やネットワークも可能になる。多くの人が興味を持って参加してほしい」と呼びかけている。

 初回は22日午後2時から千代田区内で。定員40人。受講料は10回で有職者2万円など(院生、学部生などによって異なる)。問い合わせ、申し込みは東京工業大学、沖野晃俊准教授研究室((電)045・924・5688)またはkashinjuku.t@gmail.com。