売り込め! 大学院生

大学や企業が就職を支援

 文部省(当時)が、研究開発能力を強化しようと、1991年に大学院重点化計画を掲げて以来、大学院生の数は、同年の約9万人から2006年には約26万人に増加したが、受け皿となるべき大学教員や研究職の数は増えなかった。そのため、博士号を取得しても職に就けない「オーバードクター」や、任期付きの研究職「ポストドクター」と呼ばれる人たちが増加し、深刻な問題となっている。

 そこで、東京農工大や早稲田大など12の大学や研究所は、国の補助を受け、ポスドクの支援事業を展開している。

 東京農工大では07年10月に「キャリアパス支援センター」を設置。金融機関などの企業や博物館、政府機関など100以上の組織と連携し、研修会や派遣プログラムなどを通して、幅広いキャリアパス支援ができる体制を現在整えている。また、研究指導者らが、学生に就職活動だけでなく、働く意義や社会の仕組みなども幅広く指導する「メンター制度」も実施している。

 また、大学院生に特化した就職支援サービスを行っている「DFS」(東京都渋谷区、林信長社長)は、院生専用の就職情報サイト「アカリクWEB」を3月7日にオープンさせたばかりだが、コンサルティングなど約40社が求人しており、院生の登録者数も約250人に達している。

 また、同社では院生向けのフリーペーパーを発行したり、キャリアセミナーも定期的に開いている。林社長は「今までは、院生向けの就職市場がなく、売れるはずの人が売れずに、企業も人材を取りこぼしていた。だからこそビジネスチャンスであり、院生の優秀さを企業に知ってもらいたい」と話している。