博士号取得者限定教員試験 懐疑の声あるも一部に朗報

 教員採用の競争倍率が高い秋田県の教育委員会が、県内の公立小中高の教員採用試験で30代までの理学、農学、工学、教育学、心理学に限定した教員採用試験をおこなう。募集人数は数人程度で68年4月以降に生まれた人に限るとのこと。

 県教委は最先端の知識を教育現場に伝えることで児童や生徒の知的好奇心を高め、授業の質を向上させるのが狙いであると話している。民間出身の校長や社会人経験のある教員は今では珍しい存在ではなくなったが、博士号限定の採用選考はおそらく全国初。

 大学院に進学していない者には学部卒と大学院卒にそこまでの知識の差があるのか分からないが、県教委の言う「知的好奇心を高め、授業の質を向上」させることはできるものなのか? 現役の高校教師はこの選考の効果に対して懐疑的だ。

「まぁ、不勉強な教師が多いですから最先端知識を持つ人間が教育現場に立てば、という意図は分からなくもないですが、最先端知識だろうと授業の雑談のネタ以上の用途はないですよ。それだったら何も博士号の保有者に限定するよりも社会人に限定したほうが社会を知っている分、子供たちの役に立ちそうな気がするんですけどね。

 私も大学院を出てから教師になりましたが、今は大学院拡充政策の後だから博士号と言っても昔のような価値はないですし、数が異常に増えた博士号保有者の救済策に見えます」。

 大学院の数が増え過ぎたため、院は出たものの就職先はなく、中にはフリーターをしながら就職を探す者も珍しくないという。そういう人には朗報の発表ではある。